Vol.11 サウンドクリエイターになるための進学先は大学か?専門か? ~その1~
学生さんが、
『ゲームのサウンドクリエイターになりたい!』
と思った時に悩むのが、進学先でしょう。
サウンドクリエイターになるには、専門的なことを数多く学ぶ必要があります。
そして、それらは普通の学校のカリキュラムにはありません。
独学でやるとしても、間違いを指摘してくれる人がいないため、
正しい勉強をしているかがわからないこともあります。
そのため、進学先として、音大や音楽の専門学校、
または、ゲーム専門学校のサウンドクリエイター科を検討する人もいるでしょう。
では、実際に、
『どこに進学すれば』
『ゲームのサウンドクリエイターになれるのか?』
ということについて、解説していきましょう。
●本題に入る前に岡本の経歴を説明します
私の場合、普通の大学卒業後、ゲーム系専門学校のサウンドコースに入学。
そこから新卒として、ゲーム会社に就職しました。
また、現在、フリーランスとして、
専門学校の非常勤講師としても仕事をしております。
大学と専門、生徒と教員の経験を活かし、
バランスよく両者のメリット・デメリットを見ていきたいと思います。
●サウンドクリエイターになるために一番大切なこと
皆さん、何だと思いますか?
才能?
運?
環境?
上記ももちろん大事ですが、
まずは、音楽が好きな事と、
好きというエネルギーを行動に変える力を持つ事です。
あ・・・。
二つになりましたね(笑)。
それはともかく、
要は、やる気と行動力があるか?ということですね。
それを念頭に、読んで頂ければと思います。
●大学のメリットとデメリット
以下になります。
~大学のメリット~
①大卒という学歴が手に入る
サウンドクリエイターの場合、
大卒、音大卒、専門卒など色々な方がいらっしゃいます。
つまり、サウンドクリエイターとしてゲーム会社に就職する場合、
学歴はそれほど重要視されないわけです。
極端な話、ヘボい曲を提出してきた旧帝大卒と、
プロもびっくりの曲を提出してきた専門卒だと、
後者が有利になります。
では、何故、学歴の話に触れているのか?
いきなりネガティブな話で恐縮なのですが、
『作曲や効果音制作に飽きた』
とか、
『サウンドクリエイターになるのをあきらめた』
といったような、進路変更する時に役に立つからです。
人間、興味の対象はよく変わるもので、
私の周りでも、進路変更した人はいました。
そういった時、
『大卒という資格が一般企業に就職するのに役立つ』
ということになります。
②4年間の自由な時間が手に入る
ストレートで大学入学だと、18歳。
その世代に人にとって、4年間という時間は、
今まで生きてきた時間の2割に相当します。
この時間を好きな事に注力できるのは大きいですね。
というわけで、大いに勉強に励みましょう!
③音楽以外の視野を広げられる
↓に書きましたが、
ゲームにしか興味がない志望者は、なかなか採用に至りません。
Vol.9 サウンドクリエイターの就職活動 ~その3~
大学には価値観の違う人が集まるので、
彼らと触れ合い、自分の見聞を広げるのは大事です。
どんどん交流しましょう!
~大学のデメリット~
①独学で技術を勉強する必要がある
音大ならともかく、一般大学となると、
全て自分で勉強する必要があります。
また、音大にしても、
全ての講義がゲームサウンドに関係するかというと、
そうでないものもあります(スポーツの授業とか)。
②設備は自己負担
専門学校はサウンド制作のためのPC、DAW、音源など、
現場レベルの機材が用意されてあり、
それを使って技術習得が可能です。
一方、普通の大学には、
そういった機材がないため、
自己負担で用意する必要があります。
ある程度のものを作るには、30~40万ほどのお金が必要でしょう。
ここで、
『スマホで作ればいいじゃん!』
と思った方。
コンテンツを享受するだけなら、
全く問題ないのですが、
『プロ』として、
コンテンツを供給する立場になりたいなら、
PCでの制作環境は必須です。
最近のスマホは確かにハイスペックですが、
それでもPCよりは低く、
また、画面が小さい、
サウンド制作アプリが少ないなど、
制作環境は劣悪です。
『お金がない!』
ではなく、バイトするなりでお金を稼ぎ、制作機材を揃えるのです。
③就職情報が少ない
大手企業の情報収集は苦労しないと思いますが、
表立って求人情報を出していない会社は難しいと思います。
ただ、ネットやSNSを駆使すれば、
ある程度集められるので、
ここは本人次第とも言えます。
・・・と、長くなったのでまとめると、↓になります。
① 大卒という学歴が手に入る
② 4年間の自由な時間が手に入る
③ 音楽以外の視野が広がる
●デメリット
①独学で技術を勉強する必要がある
②設備は自己投資
③就職情報
●専門学校のメリットとデメリット
以下になります。
~専門学校のメリット~
①専門教育を受けられる
大学と違い、専門技術を習得するのが専門学校の目的です。
そのため、作曲理論やDAWの使い方、
効果音の作り方など、
専門的な授業が多数用意されています。
ゲーム会社への就職を『目的』とすれば、
そこに行くための効率的な道のりや、
必要な知識、道具の使い方など、
『就職するための手段』
を教えてくれる場所です。
②設備が整っている
専門技術を習得するには、設備も必要です。
大手の専門学校だと、
プロ顔負けのレコーディングスタジオがあるなど、非常に充実しています。
③講師がプロのクリエイター
独学だと、自分の作った曲の客観的評価がわかりません。
その点、プロのサウンドクリエイターから、
直接フィードバックがもらえるのは、
専門学校の大きなメリットとなります。
④就職情報が豊富
専門学校は独自のコネがあるので、
情報が集まりやすいです。
私も、非常勤講師の仕事をして、
『この会社にサウンド部門があって、新卒を募集している』
ということを知ったケースがありました。
~専門学校のデメリット~
①別の分野に進みたくなった時、進路変更が容易ではない
大学の箇所でも書きましたが、
サウンドクリエイターを諦め、
進路変更をする人はいます。
一般教養を中心に学ぶ大学は、
進路変更しても応用が利きますが、
サウンドしか勉強しない専門学校は、
『潰し』
がききません。
そして、専門学校に入学しても、
何らかの理由で進路変更する人はいるのです。
②周りにゲーム好きが多いため、視野が狭くなりがち
同じ志を持つ仲間は貴重です。
また、社会人になっても、
気軽に話せる存在は本当に貴重です。
しかし、志が同じ場合、
思考や嗜好などが似通ってしまうため、
視野が狭くなり、
未知の分野の情報が入ってこない可能性があります。
なので、学外の友人とも定期的に交流するなど、
同級生以外の人との縁も大切にしましょう!
③通う年数が短い
サウンド系の場合、2年制のコースが多く、
そのため、早ければ1年目の終盤から、
就職活動をすることになります。
就職活動まで3年の猶予がある大学と、
ここが大きな違いです。
長くなったのでまとめると、↓になります。
① 専門教育を受けられる
② 設備が揃っている
③ 講師がプロのクリエイター
④ 就職情報が豊富
●デメリット
① 別の分野に進みたくなった時、進路変更が容易ではない
② 周りにゲーム好きが多いため、視野が狭くなりがち
③ 通う年数が短い
如何だったでしょうか?
自身の経験を元に、
大学と専門学校の特色をまとめてみました。
しかし!
進路に迷う人が欲しい情報は、
『どちらに進学すればサウンドクリエイターになれるの?』
だと思います。
ただ、サウンドクリエイターになりたい高校生と、
大卒後に会社に就職したけど、
サウンドクリエイターの夢を諦めきれない社会人では、
取るべき戦略は違ってきます。
そこで、次回は、様々なパターンを想定し、
取るべき戦略を探ってみたいと思います。
お楽しみに!
過去記事は↓にリンクをまとめてあります。
是非、ご覧下さい!
サウンドクリエイターへの道
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